はじめて恒川光太郎さんの小説を手に取ったのは、地元の図書館でした。
返却ボックスの中にあった『夜市』がなぜか気になり、そのまま借りて帰ったのが中学生の時でした。
読みはじめてすぐに物語の中に没入し、頭の中で映像が流れ、鳥肌がたったことを今でも忘れられません。
その時から今までおよそ17年。
恒川さんのファンである私が、おすすめしたい「恒川光太郎」小説ベスト5発表したいと思います。
『ベスト5』と言っても、ファンである私には順列はつけることができません。
なので、作品が発行された順番で紹介したいと思います。
♢夜市
夜市 (角川ホラー文庫)
まずは、この「日本ホラー小説大賞」受賞作である「夜市」。
およそ70ページの短い物語なのに、まるで映画を1本見たかのような作品です。
怖いのに切なくて愛も感じるこの作品に、当時中学生だった私は驚きと感動を覚えました。
読んでいると知らない間にスッと異世界に入りこむ恐怖。
この作品を見ると、今まで見ていた世界が少し違って見えるかもしれません。
ぜひ、恒川光太郎さんの作品を読むときは一番最初に手に取ってほしい作品です。
さらに「風の古道」という作品も一緒に入っており、こちらも「夜市」と同じく衝撃を受けた作品です。
普段過ごしているあなたのすぐそばに、違う世界があるかもしれない。
この「夜市」は、何度読んでも飽きない、不思議な魅力と怖さがある、そんな作品です。
♢竜が最後に帰る場所
竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)
「風を放つ」
「迷走のオルネラ」
「夜行の冬」
「鸚鵡幻想曲」
「ゴロンド」
この5つの物語が入った短編集です。
どの物語もいつの間にか引き込まれてしまう魅力が詰まっていて、本当に大好きな1冊です。
1行1行に恒川さんの魔法がかかっているような本です。
気づいたら1冊読み終わっていた・・・そんな不思議な1冊でした。
個人的には「鸚鵡幻想曲」と「ゴロンド」が印象的でした。
♢スタープレイヤー
スタープレイヤー (角川文庫)
良い意味で裏切られた、ファンタジー要素が詰まった恒川作品です。
恒川さんっぽくないかも・・と読み始めたら、最初のページですでに心を奪われていました。
「10個の願い」を叶えることができる「スタープレイヤー」に当選した主人公が、別の惑星で願いを叶えていく物語ですが・・・
もし自分ならどんな願い事を叶えるだろうかと考えさせられます。
さすが恒川さん。
こんな世界、誰も思いつきません。
続編の「ヘブンメイカー(スタープレイヤーⅡ)」もかなりおすすめです!
ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)
♢無謀の神
無貌の神 (角川文庫)
「無謀の神」
「青天狗の乱」
「死神と旅する女」
「十二月の悪魔」
「廃墟団地の風人」
「カイムルとラートリー」
この6つの物語が入った短編集です。
毎度のことながら、恒川さんの題名のセンスが最高すぎます。
タイトルだけですでに面白いのがわかる。
そして実際どの物語も読み終わったあとの余韻が半端ない。
無駄な文章がひとつもなく、ひとつひとつの文字が物語を完璧に作り上げています。
個人的には、「カイムルとラートリー」が好きです。
いや、全部好きです!
♢箱庭の巡礼者たち
箱庭の巡礼者たち (角川書店単行本)
本当にただただ面白い!
なんて表現したらいいのか、もうわかりません。
こういう多元世界の物語は一歩間違えると大コケしそうですが、恒川さんはやはり天才でした。
読み終えたときの満足感はかなりあるので、ぜひ手に取ってほしい1冊です。
♢さいごに
恒川さんの作品を全て読んだ私が言えることは、この一言に尽きると思います。
『恒川さんの作品に出会えて良かった』
彼の新作が書店に並んでいるのを見つけるたびに、心の底からワクワクして本を手に取る。
次のページへとめくるたびに世界が広がって、「すごいものを見た・・」と感動する。
「夜市」の頃から、全く色あせることない恒川さんの作品は私の宝物です。
彼の次回作を心待ちにしながら、これからも恒川さんを応援したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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